SANDBOX の科学 ── 模型の仕組み、限界、授業での使い方

SANDBOX は「粒の集まり」で世界を近似する物理サンドボックス。何を再現していて、何を再現していないかを、先生・保護者・自分で確かめたい人のために書いた。ゲームとして楽しく、同時に「実験の道具」として使えるように設計している。

要点:セルオートマトン(粒の局所規則)+ 粗い格子の流体(圧力と風)+ 熱の伝導・相変化 + 簡単な生態系。単位は「相対値」で、実際の物理量の比を保つことを優先している。低い性能の端末でも動くように、必要に応じて計算を間引く。

1. 設計の考え方:楽しさと実験の両立

2. 世界の表し方

庭は最大 192×128 の格子。1 マスに 1 種類の物質が入る。物質は次の性質を持つ:

性質意味例
粉(POWD)下と斜め下へ落ちる。安息角ができる。液体より重ければ沈む砂・土・土砂・砂利・粘土・雪・灰・石炭・火薬
液(LIQ)落ち、横に広がる。つながった液面は同じ高さになる(連通管)水・油・溶岩・蜂蜜・水銀
気(GASF)上へ昇り、風に乗る。密度の順に重なる蒸気・煙・メタン・水素
固体(STAT)動かない。熱を伝える(金属は速い)石・木・金属・ガラス・氷
装置周りに働きかけるヒーター・冷却器・ポンプ・安全弁・圧力計・送風機・噴射口
生き物食べる・食べられる・育つ・年を取る魚・鳥・蛙・蜂・蟻・ミミズ・芋虫・アブラムシ・てんとう虫

各マスは、種類のほかに温度・寿命/状態・速度(鉄球など)を持つ。

3. 熱:伝導と状態変化

4. 気体と圧力、風

4×4 マスをひとつの「格子」として、格子ごとに圧力と風(速度)を持つ粗い流体を解いている。

5. 液体

6. 生態系

7. 再現していないこと(限界)

実験の「傾向」を見るための道具であって、数値を測る計器の代わりにはならない。授業では、模型で予想を立て、本物の実験や資料で確かめる、という使い方を勧める。

実験ごとの記事:圧力の実験(ボイラー・安全弁・レンガの器・ダム・鉄球)、熱の実験(伝導・沸騰・凝結・凍結・ガラス・季節)、風と運動の実験(閾値・砂丘・跳躍・噴射口・爆風)。それぞれ「予想 → 観察 → 数で確かめる → まとめの問い → 模型の限界」の順で書いてある。

8. 授業での使い方

実験(🧪 実験ガイド)学習のねらい関連する単元(目安)
水を沸かす状態変化・凝結小4「水のすがた」/中1「状態変化」
水を凍らせる・冬を呼ぶ凝固・熱の伝わり方・季節小4「水のすがた」「季節と生物」
砂をガラスにする高温での物質の変化中1「状態変化」
U 字管で水位をそろえる連通管・水の圧力中1「圧力」/中3「水圧」
ボイラーを破裂させる・安全弁で防ぐ・レンガの器はどこまで耐える気体の圧力と温度・容器の強度(材料の限界)・制御中1「圧力」/中2「気象と大気圧」
ダムを決壊させる水圧は深さに比例する中1「圧力」/中3「水圧」
蒸気で鉄球を飛ばす圧力差による流れ・運動量中3「運動とエネルギー」
川で土を運ぶ侵食・運搬・堆積(上流と下流)小5「流れる水のはたらき」/中1「大地の成り立ち」
風で砂丘を作る風成運搬・堆積小5「流れる水のはたらき」/中1「大地の成り立ち」
火薬を爆発させる急激な燃焼・気体の発生中2「化学変化」
雨を降らせる水の循環小5「天気の変化」/中2「気象」
水を汲み上げる仕事・位置エネルギー中3「仕事とエネルギー」
虫の食物連鎖・落ち葉を土にする・芋虫を蝶にする食物連鎖・分解者・変態小6「生物と環境」/中3「生物と環境」
器を一瞬で作る再現性(同じ条件を作る)理科の見方・考え方

学習指導要領との対応は運営者の目安であり、各校のカリキュラムに合わせて先生が判断してほしい。

すすめ方の例(45 分)

  1. 導入(5 分):見本「噴射と風洞」を眺める。何が起きているかを言葉にする。
  2. 予想(10 分):「安全弁を外したらどうなるか」「砂利は風で動くか」を予想し、理由を書く。
  3. 実験(20 分):実験ガイドの「ボイラーを破裂させる」→「安全弁で破裂を防ぐ」。📈 で圧力を記録し、CSV を表計算に貼ってグラフにする。🔬 で条件を固定し、📏 で「水の粒がどれだけ蒸気になったか」を数で追う。
  4. まとめ(10 分):模型で見えたことと、本物の実験・資料で確かめたいことを分ける。

9. 低い性能の端末で

10. 安全と表現

質問・要望はサイトについての窓口へ。授業で使った感想も歓迎する。