熱の実験 ── 沸騰・凝結・凍結・ガラス・季節
水は熱すると蒸気になり、冷えると水滴に戻り、もっと冷えると氷になる。同じ「水」が姿を変えるだけで、量は変わらない。SANDBOX の 4 つの実験(水を沸かす/水を凍らせる/砂をガラスにする/冬を呼ぶ)で、状態変化と熱の伝わり方を、目と数の両方で確かめる。
温度の読み方:SANDBOX の温度は相対値を ℃ に換算して表示している。気温の基準(春の朝)を 20 ℃、氷点を 0 ℃、水の沸点を 100 ℃ に合わせた。🌡 で場の温度を色で見る。📈 で一点の温度を時系列で記録できる。🔬 で昼夜と季節を止めると、気温が 20 ℃で固定され、対照実験ができる。
1. 熱はどう伝わるか(模型の中の伝導)
温度はマスごとに持ち、隣り合うマスへ伝わる。伝わりやすさは物質で違う。模型の伝導の速さ(相対値):
| 物質 | 伝わりやすさ | 本物では |
|---|---|---|
| 金属 | 0.6 | 鍋・フライパン。熱をすぐ全体に広げる |
| 水銀・溶けた金属 | 0.5 | 液体の金属も熱をよく伝える |
| 水 | 0.3 | 空気よりは伝えるが、金属より遅い |
| 空気(空のマス) | 0.2 | 本物の空気はもっと伝えにくい。模型では対流の代わりに少し大きめ |
| 氷 | 0.2 | 水より少し伝えにくい |
| 木 | 0.12 | 鍋の柄が木なのはこのため |
| 石・ガラス | 0.1 | 厚い石の壁は冷えにくく温まりにくい |
| レンガ | 0.06 | かまど・窯の材料。熱を閉じ込める |
| 雪 | 0.05 | 空気を含むので断熱材になる(かまくらが暖かい理由) |
やってみる:金属の棒と石の棒を並べて置き、片方の端だけを炎で熱する。🌡 で見ると、金属の棒は反対の端まで色が変わるのが早く、石の棒は熱した所の近くだけが変わる。📈 で両方の棒の「熱源から 10 マス離れた点」を記録して、温度が上がり始めるまでの時間を比べると、数で差が出る。
2. 水を沸かす(沸騰と凝結)
準備
🧪「水を沸かす」を準備する。器の底が金属板になっていて、その下を炎で熱し続ける。
起きること
- 金属板が熱を水に伝え、水の温度が上がる。100 ℃に達した水は蒸気になって上へ昇る。
- 蒸気は天井や壁に触れて冷えると水滴に戻り、落ちてくる(凝結)。やかんの蓋の裏に水滴がつくのと同じ。
- 器が開いていれば蒸気は外へ逃げ、水は減っていく。器を閉じると蒸気がたまり、圧力が上がる(圧力の実験へ続く)。
- 閉じた器の蒸気は消えない。熱いあいだは蒸気のまま、冷えると水に戻る。水の粒の数 + 蒸気の粒の数は変わらない(質量の保存)。
数で確かめる
- 📏 で器の内側を範囲に指定する。物質ごとの粒の数(水・蒸気)と平均温度が記録される。
- 熱し始めてから、水が減って蒸気が増える様子をグラフで見る。合計が一定なら、姿が変わっただけで量は変わっていない。
- 炎を消して冷やすと、蒸気が減って水が戻る。往復させて合計が保たれるかを見る。
よくある勘違い:「湯気」は蒸気ではない。湯気は蒸気が冷えてできた細かい水滴で、目に見える。蒸気(気体の水)は見えない。模型では蒸気を薄い白で描いているが、これは「見えないものを見せている」だけ。
3. 水を凍らせる(凝固と融解)
🧪「水を凍らせる」を準備し、液体窒素を池に注ぐ。
- 液体窒素はとても冷たく、触れた水を 0 ℃以下に下げる。0 ℃以下の水は氷になる。
- 氷は水より軽いので浮く(模型でも密度の順で浮く)。本物の湖が上から凍るのも同じ理由で、氷が蓋になって下の水は凍りにくい。
- 凍った所へ炎を近づけると、氷は 0 ℃を超えて水に戻る(融解)。
- 冷たさは「冷たいものが伝わる」のではなく、熱が冷たい方へ流れて奪われている。模型でも、液体窒素のマスは周りから熱をもらって暖まり、周りが冷える。
やってみる:金属の器に入れた水と、木の器に入れた水を、同じ量の液体窒素で冷やす。どちらが先に凍るか。金属の器は外の冷たさを中へ早く伝えるので先に凍るはず。予想してから確かめる。
4. 砂をガラスにする(高温での変化)
🧪「砂をガラスにする」を準備し、溶岩を砂の山に落とす。
- 砂(主成分は二酸化ケイ素)はとても高い温度で溶け、冷えて固まるとガラスになる。模型では溶岩の熱で砂が溶けてガラスのマスに変わる。
- 本物のガラス作りでは、砂に石灰やソーダ灰を混ぜて融点を下げ、1,000 ℃を超える窯で溶かす。落雷で砂が溶けてできる「閃電岩(フルグライト)」も同じ変化。
- 模型では、蝋・砂糖・金属にも融点がある。蝋は低い温度で溶けて液体になり、冷えると固まる。金属は炎では溶けず(赤くはなる)、炭火や溶岩ほどの熱で溶ける。「何 ℃で溶けるか」を物質ごとに 📈 で測って表にすると、融点の違いが見える。📖 の物性表に答えが載っているので、測ってから答え合わせをする。
5. 冬を呼ぶ(季節と気温)
🧪「冬を呼ぶ」を準備し、雲を空に置いて待つ。1 日は 6 分、1 年は 4 日。気温がゆっくり下がり、冬になると雪が降り、池が凍る。
- 池は水面から凍る。空気に触れている表面がいちばん冷えるから。底の水は氷に守られて、しばらく液体のまま。
- 雪は積もると断熱材になる。雪の下の土は、露出した土より冷えにくい。🌡 で見比べられる。
- 春になると氷が解け、種が芽を出す。生き物の活動も気温で変わる(冬は虫が減る)。
- 🔬 で季節を止めれば「ずっと春」で実験できる。逆に、季節を動かしたまま同じ場面を 1 年(16 分)眺めると、池が凍って解けるまでの周期が見える。📈 で池の温度を 1 年ぶん記録すると、きれいな波になる。
6. まとめの問い
- 閉じた器で水を全部蒸気にしたあと、冷やすと水は元の量に戻るか。📏 で確かめて、戻らないとしたらどこへ行ったか考える。
- 金属の棒と木の棒、熱が反対側に届くまでの時間の比は、表の「伝わりやすさ」の比とどう関係するか。
- 湖が上から凍るのはなぜか。もし氷が水より重かったら、湖の生き物はどうなるか。
- 雪の下の土が冷えにくいのはなぜか。かまくらの中が暖かいのと同じ理由か。
7. 模型の限界(ここは本物と違う)
- 潜熱を簡略化している。本物では、氷を水にする・水を蒸気にするには、温度を上げるのとは別に大きな熱量が要る(水 1 g を蒸気にするには、0 ℃から 100 ℃まで温めるのの 5 倍以上)。模型ではその熱量が小さい。
- 対流は「空気の伝導を少し大きめにする」ことで代用している。暖かい空気が上へ昇る流れは、風の計算で部分的にしか表せていない。
- 比熱の違い(水は温まりにくく冷めにくい)はごく簡単にしか表していない。
関連:圧力の実験(ボイラー・安全弁・ダム)、風と運動の実験(砂丘・噴射口・鉄球)、SANDBOX の科学(模型の仕組みと限界)。